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ブログ - Words from Flying Books

「本のない人生ほど 寂しいものはない」 -庄司淺水

こちらをお読みの皆様は本をお好きですよね?あれ? ああよかった、大丈夫ですね。
便利になったようでいて、なんだか日々忙しいですし、娯楽ならほかにいくらでもあるし、テキストだって(この文章もそうですね)画像だってPCや携帯で見られるし。気づいたら本を手にしてないなここんとこ、という方がいらしても不思議ではない、のですけれど。
でもコンビニで立ち読みする、漫画雑誌とか週刊誌も本って言ってもいいのでは?紙を束ねてあって、文字や図が印刷されてますものね。本の定義ってなんでしょう。

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さてこの本『目でみる本の歴史』は本についての本です。この本の中には本がたくさん入っています。この本の後ろ三分の一ほどは解説になっていて、素材も紙ではなく印刷されてない古代の本のことや、私たちが本、と思うかたちになるまでに開発されていった技術のことや、時代時代の本について知ることができます。
しかしここはカラーを含む、豊富な図版をみてみましょう。本の中に本たちを。
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14世紀の写本は主に事典や聖書です。木版の挿絵に手彩色されたものも出て来ます。羊皮紙に書かれたイソップ物語もあります。このころの本は万人が手に出来るものではなかったのでしょうね。金箔とエナメルの細密画で飾られている、宝飾品のようなこれも本。

16世紀の銅版の地図帳も彩色されているようです。15世紀のものとも言われるエチオピア語で書かれた聖書はほぼ正方形で、見開きの見慣れぬ文字が端整にならぶさまも、革の表紙に紐で綴じられ全体に黒ずんだその外観も、オブジェ作品かと思わされます。
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日本の本もありますね。17世紀半ば出版。見開きの片側には動物の絵が描かれています。「伊曽保物語」。行書の縦書ですし、似たタイトルの先程の本とはずいぶん様子が違います。
 「ロビンソン・クルーソー漂流記」は1719年の初版と1790年版、1857年の日本語訳版と揃っていて、挿絵も字体もそれぞれ、見比べられます。日本語版は「魯敏遜漂行紀略」と立派な字で書かれていますが、挿絵のロビンソンはなんだか弱そうです。
ウィリアム・モリスの華麗な蔓草文様と活字、バーン・ジョーンズの挿絵が手漉きの良質紙に配された、ケルムスコット・プレス刊行の「チョーサー著作集」は、本の中に入って本をめくり、他の頁を見てみたくなります。
この本に載せられている、その見た目も生まれた場所や時間もさまざまな本たちは、主に京都外国語大学附属図書館に所蔵されているものだそうです。日本にこれらの本たちが集まっているなんて、わくわくしますね。
冒頭に挙げた言葉はこの本の著者の一人によるものです。いかが思われますでしょうか?

『目でみる本の歴史』 庄司浅水・吉村善太郎 著 
初版 庄司浅水識語紙入り 函少傷み 帯欠 
出版ニュース社 1984
¥8,000

Tanaka

2010 年 1 月 7 日 | comment
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