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ブログ - Words from Flying Books

銀色のFactory

誰でもTVを見る。誰でもコークを飲む。誰でもモンローやプレスリーを知っている。大量消費社会で生み出された工業製品や、毎日目に入るマスメディアの情報だってアートになる。近寄りがたい雰囲気の美術を大衆に受け入れやすくしたのが「ポップアート」である。そしてその中心にはアンディー・ウォーホルがいた。
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チェコスロバキア(当時)の移民の子で、デリケートな少年だった。若い頃のナイーブな写真と、後のニヒルなまでにクールな写真の差は非常に興味深い。ホモで、マザコンで、ゴシップマニアで、アンダーグラウンドの帝王だった。銀色のFactoryにはたくさんの有名人が訪れた。ミック・ジャガー、ルー・リード、トルーマン・カポーティ、イーディ・セジウィックその他にも数えきれないほど集まった。銀の暗い光沢で包まれた空間では、昼夜関係なく人が出入りし、パーティーとも仕事ともつかない日々が続き、ドラックピープルや、スノッブな美しい男女の中で、一人冷めた傍観者の眼差しでウォーホルは機械のように作品を生産し続けた。「僕は機械になりたい」と発言しさえし、彼は知性さえも疑われた。
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アンダーグラウンドの帝王の作品は、すごくシンプルだった。コカ・コーラの瓶、ドル紙幣、有名人のポートレート、ミッキーマウス、交通事故の写真、電気椅子等々。これらのモチーフが無限に繰り返されヴィヴィッドなインクで刷られた。飼っている二十五匹の猫の名前が全てサムだったという話も納得がゆく。表面だけのペラペラなイメージは、見た目はポップだが、何か非人間的な冷たさを感じさせ、死のイメージを連想させる。後に彼は「僕を知りたければ、表面だけを見ればいい。裏側には何も無いんだ」と質問に答えた。無限に繰り返される無機質なイメージの反復は全てを均一にし、それらは意味を失い、上も下も無い混沌の快楽に突き進む。一度この快感を味わえば、もう後戻りは出来ない。
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林 裕司

「ANDY WARHOL」 Rainer Crone 1976年 出版社PREAGER PUBLISHERS 48,000円

2009 年 8 月 31 日 | comment
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いびつなあなたに―昔ばなしREMIX

みなさん、昔話といったら「桃太郎」や「浦島太郎」などは子どもの頃からなじみがあると思いますが、「かちかち山」のお話は、ご存知でしょうか?
たしかタヌキとウサギが出てくる話でなんか火がついてしまって大変でしたよね。
でも、なんで火がついたんだっけ……?
昔話なんて子どもの話だと思ってナメてたらいけません。
今日紹介する本に出てくるタヌキは、女好きなダメ男。一方、ウサギはひどい悪女。
副題は「堅々獄夫婦庭訓(かちかちやまめうとのすじみち)」となっております。
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絵は横尾忠則、文は高橋睦郎。
昔話を最高にカッコよく、面白くリミックスしたような感じです。
横尾の絵は、ポップでサイケデリック、ビートルズのメンバーの顔や、ブリジット・バルドー似の美女がサンプリングされて登場します。
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そして、血なまぐさい、欲にまみれた大人のおどろおどろしい物語。
極めつけは、シニカルな「めでたし、めでたし」。

見開きの大きなページ構成で、呼応する絵と言葉。
昔話って、すでに知っているようで、大人になって読んでみたら実は怖い話だったり、言葉の裏の物語を読み取ってしまったりします。
これは、そういうことを絵とあいまってとても楽しくやってのけた作品です。

また、宇野亜喜良の「浦島太郎」では、余白によって言葉の世界が詩情たっぷりに引き立てられていて美しいし、田中一光+坂上弘の「花咲爺」では、途中に裏話が挿入され、本文とミックスされながら読み進めるのが面白いです。

豪華なデザイナー・作家陣によってとても丁寧に作られた、大人のための昔話絵本。
一筋縄ではいかない、だからこそ、何度も開きたくなります。

日本民話グラフィック
灘本唯人・永井一正・宇野亜喜良・田中一光・横尾忠則
「一寸法師」「桃太郎」「浦島太郎」「花咲爺」「かちかち山」の5編を収録。
初版 函ヤケ 扉・奥付少シミ 美術出版社 昭39 ¥58,000
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そして、もう一点、ちょっと変わった昔話アイテム。
『養老の滝』のレコード付き絵本です。
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 伊坂芳太良のイラストが全面を飾る美しいカラーヴァイナル。
中村メイコの楽しい語り。
レコードを聴きながら、絵本を見ると、目と耳から立体的に物語が楽しめます。

こちらは、先ほどのとは違って、良い子のための日本名作童話シリーズ。
とても親孝行な息子のお話です。
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病に伏している父親のために町へ出て、たきぎを売り、父親の好きな酒を買って帰る日々。
ところが、ある日息子は、山道で足をすべらせて崖から落ちてしまいます。
気がつくとそこには、酒の流れる滝が……。

そうして、これからは父の好きな酒をいくらでも汲むことができるようになって、二人は幸せに暮らすのでした。

この親孝行息子、良い子すぎてなんだかムズムズするなぁと思ったら、伊坂芳太良のあとがき(雑感)を読んで、溜飲が下がりました。
「山の中に、おいしいお酒があることも、大きな夢があることもぼくは信じている。親孝行の話だけでは今の子どもはついて来ないのではなかろうか。」

伊坂好きな方には、レアアイテムとしてジャケ買い必至です。
レコードを飾るも良し、聴くもよし、リミックスするも良し! おすすめです!

『養老の滝』
日本名作童話シリーズ
伊坂芳太郎
マーラックス・レコード 1968年(少水シミ) 14,800円

Uehara

2009 年 8 月 26 日 | 2 comments
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西村多美子『しきしま』展 part2

ご好評をいただいた西村多美子さんの『しきしま』展、
8/24月曜から人物が被写体となった作品を中心としたpart2が始まります。
是非この機会にご覧下さい!


part 1の作品のオーダーもまだ受け付けております。
作品の価格、購入方法は電話またメールにてお問い合わせ下さい。

2009 年 8 月 23 日 | comment
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“紙たちの博物館” ゴメス氏のおくりもの

なにかを集めたことはありますか?
稀覯本やめずらしい切手でなくても、小石や貝殻、壜のふた、シールなどの小さなものをついつい集めてしまったことは?
スペインの14歳、ホアキン・ゴメス君は、飛行船やはにかむ少女、エキゾチックな風景の魅惑的なポストカード、ラベル、ポスターを集め始めました。1916年の事です。
どんな図柄だったのかは分かりません、しかし最初のある一枚が彼を10数万枚もの紙たちとの出会いへと連れ出したのです。

長じてホアン・ミロらと芸術運動を興し、写真家ともなったゴメス少年、いえゴメス氏のヨーロッパ最大といわれるコレクションから、テーマ毎に一冊ずつまとめた、この『100年前のヨーロッパ』シリーズは日本オリジナルで1985年に出版されました。

19世紀末から20世紀はじめのベル・エポックの時代。写真、映画、航空、鉄道、印刷、あらゆる分野において新技術がつぎつぎ実用化され、文化華やかなりしこの頃数多く作られては消えて行った紙モノたち。
写真に淡く彩色された、夢見るような美女たちのポストカード。
憧れの乗り物、自動車や飛行機、気球に飛行船はユーモラスなコラージュやイラストでも描かれています。
コマーシャルアートの先駆けでもあるハバナ煙草のパッケージ。
そして「クロモス」。
この時代と共にブームを起こした後、瞬く間に消え去ってしまったという愛らしい、趣味の印刷物。多色刷石版で花飾りや天使を象り、型抜きされてレリーフのようなふくらみをもった、掌にのるほどのクロモスは、実用性より集める事を目的とされていました。

収録されたこれら一枚一枚は、見る人を多面体の結晶のような光を放つベル・エポックの一端に触れさせ、ささやかなものを集めることの魅力へと誘うのです。

ゴメス・コレクション 100年前のヨーロッパ
第1巻 1900年の女神たち
第2巻 クロモスの世界
第3巻 機会と科学の夢
第4巻 ハバナ・エキゾチカ        
1985,86年 小学館刊    各ビ二ールカバー付 4冊セット 8,000円(ご注文は店頭かメールにて)

Tanaka

2009 年 8 月 20 日 | comment
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飽くなきティーンへの追求

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サイレント映画のような「タルサ」から「ティーネージ・ラスト」、そして服役を経て、1993年にスイスの出版社からドイツ語版「DIE PERFEKTE KINDHEIT」、1995年英語版「THE PERFECT CHILD HOOD」として出版された写真集。
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ピストル自殺を演じる少年、リヴァー・フェニックスのピンナップ、何度も繰り返される露骨な性器剥き出しの写真達。厳粛な雰囲気の「タルサ」とは違いカラー写真を多用し、書きなぐりのメモや、新聞の切れ端、ブラウン管のザラついた少年のポートレートが続く。
五十歳を過ぎてスケボーを始め、若い連中と付き合い、怪我をすることも厭わない、飽くなきティーンへの追求。フランスが生んだ怪物作家ジャン・ジュネの殺人者ヴァイドマンへの憧憬の眼差しを思い出した。
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ストレートな写真とセットアップの写真の中で揺れ動く少年達。この写真集が後の世界中のティーネージャーが永遠に見続けるであろう映画「KIDS」へと昇華するのである。高級な服や、食事に目を毒された人はすぐに見るべし。
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 [独]Die perfekte Kindheit  ラリー・クラーク(Larry Clark) 1993  HC・カバー ¥38,000

[米]The Perfect Childhood ラリー・クラーク(Larry Clark)1995  HC・カバー ¥38,000

林 裕司

2009 年 8 月 14 日 | comment
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いよいよ、渋谷大古本市!

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いよいよ、明日から「第18回東急東横店 渋谷大古本市」が始まります。
毎年、30店以上の古書店が参加し、文学・歴史・美術・漫画など、書店自慢の逸品が一堂に会します。
「古書サンエー」では、美術書をはじめ、映画・音楽・ヴィジュアルブック・歴史・戦記・航空関連など、普段店頭に並べていない商品も多数出しています。つい先ほど陳列し終えたとこです!
急な夕立でも駅に直結してるから問題なし!ぜひ、この機会にお立ち寄りください!tokyu0908-1

8月14日(金)〜19日(水)[最終日は17時閉場]
東急東横店 西館8階 催物場
 http://www.tokyu-dept.co.jp/toyoko/event/event.html#6372

Uehara

2009 年 8 月 13 日 | comment
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幻の写真集『しきしま』展

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噂だけをたよりに長年探し求めた幻の写真集『しきしま』。初めて手にした時に沸き起こった、毎日目の前を通り過ぎて行く大量の本の中で忘れかけていた感覚。
それはまさに一目惚れ。

 

線路や丘の向こうに続く道、果てしない旅の予感に心熱くさせられ、旅先ですれ違うOLのスーツ姿や、祭の子供たちに和まされる。雑誌『プロヴォーグ』に参加した森山大道、中平卓馬らに通じる粗く暗いタッチの迫力に加えられた西村さんならではのやさしい眼差し。

序文がすべてを物語っている。
「今まで、日本のどこか、気の向くままに足を向けて写真を撮って来た。(中略)目の前に広がる風景よりも、ちょっとした光線の具合やどこかからの花の匂いや、空気みたいなものに、すごくひかれた。」

今回ご縁会って西村多美子さんとお会いすることができ、展示をさせていただくことになりました。1973年の処女作『しきしま』から選りすぐった作品を風景中心のPART1(8/10〜22)、人物中心のPART2(8/24〜9/5)の2回に分けてご紹介します。ひとりでも多くの方に西村さんの作品を知っていただけると幸いです。

2009年8月 Flying Books 山路和広

(以下、展示作品 〜8/22 ※最上段2作品は『森山大道ヌード写真集 蜉蝣』にも収録されている作品)
作品の価格、購入方法は電話またメールにてお問い合わせ下さい。

2009 年 8 月 9 日 | comment
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ギャラリー、はじめます。

Flying Booksでは8月10日より、階段に設置した展示BOXでのミニ・ギャラリー
「Flying Books Wall Gallery」をスタートします。
展示アーティストの募集もしていますので、お気軽にお問い合わせください。

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オープニングアーティストは写真家の西村多美子さん。
73年に写真集『しきしま』で衝撃のデビューをかざり、2005年に32年の歳月を経て2作目『熱い風』3作目『福島泰樹 短歌絶叫』を発表されました。
長年探して見つけた途端一目ぼれしてしまった『しきしま』。先日1998年以来11年ぶりの『しきしま』の個展で、西村さんご本人とお会いすることができ、今回展示させていただくことになりました!
今回は幻の写真集『しきしま』から厳選したプリントを2週間ごとに入替え、計4週にわたって展示いたします。
 
9月7日からはNYと東京をまたにかけ、最近は中国でも展示会があったフォトグラファー、たかはしじゅんいちさんを、21日からは新宿高島屋の個展で半数以上がSOLDとなるなど人気急上昇中のアーティストの大河原愛さんの作品を、古本を素材としたコラージュ等を中心に展示させていただきます。
 
*詳しいアーティスト紹介はまた近日中にUPします!
是非お気軽に観に来て下さい!
 
展示スケジュール
8/10〜22 西村多美子「『しきしま』part 1」
8/24〜9/5 西村多美子「『しきしま』part 2」
9/7〜19 たかはしじゅんいち「『AFTER IMAGE- NY』part 1」
9/21〜10/3 大河原愛「網膜の記憶」
 
 
 展示アーティスト募集中!
【基本条件】
条件:展示・販売を前提とさせていただきます。
  (展示のみ希望の場合はご相談下さい。)
展示スペース:幅1120mm×高さ820mm×奥行60mm(内寸)の壁掛け展示BOX×3台
      (ご来店の方が必ず目にされる場所です。)
スケジュール:月〜土の週単位
(月曜の昼に搬入・展示、土曜の閉店後撤収)
       ※2週間以上の設定も可能
費用:スペース使用料1万円/6日間(オープニングサービス期間中)+作品売上の25%(単価10,000円以上の作品の場合)
   作品販売はFlying Booksの営業時間内(月〜土12:00〜20:00、祝日含む)にカウンターにて承ります。
告知等:
Flying Books側ではWEBでの告知、店頭告知を行います。
アーティスト様側でフライヤー等の作成(必要な場合)、WEBやBLOGでの告知をお願いします。
(制作等、ご相談にも応じます。)
※オプションでパーティー可。 月〜土の20時〜。別途ご相談下さい。
 
お申し込み方法:
お名前・ご連絡先(電話/e-mail)・使用希望期間・展示概要(プロフィール等)を添えてメールでお申し込みください。info[a]flying-books.com
スパム防止のため@を[a]に変えてあります。
※簡単な審査をさせていただきます。作品資料(ポートフォリオ等)をご用意ください。

2009 年 8 月 3 日 | comment
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呼吸する写真集―「遊び」が生まれる場 『SYNTHETIC VOICES』 Mark Borthwick(マーク・ボスウィック)

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1998年1月に渋谷パルコギャラリーでの個展に合わせて出版された作品集。Purpleシリーズ、SELF SERVICEなどに掲載されたマガジン・ワークスを中心に、マークのフリー・ライティング、リタ・アッカーマン、ポール・マッカーシー他を収録。97年の路上コレクション及び、マルジェラを素材に使用した作品も多数収録されています。 

 従来のファッション写真のようにセット・アップされた状況で作りこんでいくのとは違って、マークは、モデルと小物と写真家(マーク)の関係性から生まれるものを大事にしています。マーク撮る写真は、即興の音楽のようであり、「遊び」が生まれる場でもあります。生きた時間が込められており、見る者にとっても、一緒に遊んでいるような感覚をおぼえる、光に満ち溢れた瑞々しい写真集です。

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 『SYNTHETIC VOICES』 Mark Borthwick(マーク・ボスウィック)
初版 献呈サイン入 composite press/シナジー幾何学 1998
SOLD

〔Mark Borthwick〕 http://markborthwick.com/

Uehara

***展覧会情報***
現在4ヶ所でマーク・ボスウィックの展覧会を開催中です。
ぜひ、この機会に足を運んでみてください。

■マーク・ボスウィック“anna rose’ if handed down”ポラロイド展
会期:2009年7月28日(火)〜8月31日(月)
GALLERY at lammfromm / ラムフロム東京
〒151-0064 東京都渋谷区上原1-1-21 山口ビル1F
Tel:03-5454-0450
http://www.lammfromm.jp/exhibition/2009/07/728.html

マーク・ボスウィック“anna rose’ if handed down”
■GALLERY SIDE 2
会期:2009年7月18日(土)〜8月15日(土)
港区東麻布2-6-5 タトルビル1F
Tel:03-6229-3669
http://www.galleryside2.net/gallery/current/index.php

■NADiff
会期:2009年7月21日(火)〜8月17日(月)
渋谷区恵比寿1丁目18-4 1F 
Tel:03-3446-4977
http://www.nadiff.com/home.html

■BOOK 246
会期:2009年7月16日(木)〜8月8日(土)
港区南青山1-2-6 Lattice 青山
http://www.book246.com/tg_f.html

2009 年 8 月 1 日 | comment
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