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ブログ - Words from Flying Books

この世を去ってもなお増え続ける詩人の足あと

2008年末に旅立った詩人のななおさかきの新しい詩集が出版され、現代詩手帖で特集も組まれました。
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ななおがこれまで3冊出した詩集の中の作品を年代別に並べ、さらに未発表の詩を加えたアンソロジー『ココペリの足あと(思潮社)です。 これまでの詩集に収録されていた作品も並び方が変わることによって、そこから見えてくる風景が変わりますし、晩年の未発表詩はリーディングでおなじみの「直立猿人」「自伝」「ほたるこい」などから、俳句や完全に未発表のものまで収められてます。

また盟友ゲーリー・スナイダーによるナナオについての「未来に発信する古代のヴィジョン」や、遠藤朋之氏による「ななおさかき小伝」ではななおの人物像にも描かれています。
装丁はななおの古い友人でもあるアニキこと高橋正昭さんで、持った時の紙の手触りも重視された詩集です。

また9月末発行の現代詩手帖10月号で「ななおさかきの地球B」という特集が組まれてます。
白石かずこさんの書き下ろしや、諏訪瀬島の盟友ナーガこと長沢哲夫さんがななおに捧げた詩も収録されてます。Flying Books店主の山路も、ななおの引越しの際の蔵書整理の想い出について執筆しました。

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現代詩手帖2010年10月号

ななおさかきの地球B
◎インタビュー
原成吉「詩の種を蒔くココペリ」
◎エッセイ
白石かずこ、長沢哲夫、石田瑞穂、山路和広
◎資料(遠藤朋之訳・解説)
ななおさかき+ゲーリー・スナイダー
ななおさかきインタビュー

どちらも新刊ですが、Flying Books店頭でも取り扱ってます。
是非チェックしてみてください。

歴史を振り返るとほんとうに偉大なアーティストは没後の評価されていることが多いと思います。ななおもその一人なのでしょうか。
自分の思うままに自由に生きたななおは既存のものさしでの評価などまったく意に介さないことでしょう。
ともかく一人でも多くの人にななおの詩、それ自体が破天荒で痛快なポエジーに満ちたななおさかきという詩人の生きざまを知ってもらえたらと思います。

K.Yamaji

2010 年 10 月 10 日 | 1 comment
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デオドラントされた風景(『TOKYO SUBURBIA』ホンマタカシ)

ここ数年、僕の頭から離れない一人の人物がいる。その人物とは今更ながらと思われる知れないが、自身の漫画の破天荒さよろしく交通事故に会い、現在も療養中のマンガ家岡崎京子である。岡崎マンガの発見は、ここ最近で最も刺激的な出会いである。

高校生のころ大阪でタコヤキライフを送っている僕が、TSUTAYAでレンタルしてきたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのバナナジャケットのCDに入っていた名曲「Heroin」を聴いた時みたいに僕の頭をぶち抜いた。こっちはタコヤキ、向こうはヘロイン。自分の出生地を恨んだ。

岡崎マンガに出てくる、すぐSEXでも殺人でもしてしまう少女達の行動は、男の僕からしたらショックで信じられないし、信じたくも無い。毎回読むたびに胸が痛くなるし、乱暴に扱われる肉体を見るのはツライ。しかし、何故か何度でも読みたくなるのだ。岡崎京子が関係しているものなら僕は何でも読みたいし、不可能だと思うが新作も読みたい。ずっとスポーツに明けくれていた高校時代は、『東京ガールズブラボー』のような生活とは真逆で、運動して食べて寝るシンプルな生活だったが、もしその頃、岡崎京子の漫画に出会っていれば、違った毎日を送っていたのかもしれない。

『東京ガールズブラボー』中にに入っている日本の知のカリスマ、ニュー・アカデミズムの雄、スキゾキッズことブリリアントな浅田彰と岡崎京子の対談の中で浅田は「常に押し寄せてくる興奮や、高揚感、そしてそれと裏腹にいつもある使い捨てられることへの寂しさ」と岡崎マンガの特徴を的確に説明している。

そんな岡崎京子の作品世界と、同時代の空気を表している写真家が、ホンマタカシである。

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東京の郊外を見事にサッパリとタンタンと撮影し、木村伊兵衛賞を射止めた写真集、『TOKYO SUBURBIA』は、日本の写真のこれまでのイメージを変えた。そこに写っている風景は、『突破者』を書いたアウトロー作家宮崎学なら、「デオドラントされた風景」と言うだろう。漂白されてサッパリしている明るい街路は、なんらスペクタクルや、決定的瞬間は無く、いつでも、どこにでもありそうな風景が続く写真集。発売当時、大阪のLOGOSで僕はこの写真集を買おうか迷い、何度も店を訪れたのを思い出す。

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岡崎京子とホンマタカシは、ホンマの初めての写真集『Babyland』での対談でその共通点を確認し合っているように伺える。ホンマ「本当はもっと濃く焼けるんです・・・」岡崎「やっぱりサッパリが好きなんだ・・・」この対談の中でのサッパリと言う言葉に、これまでの写真家や、マンガ家との感覚の違いを双方に感じる。あえて岡崎とホンマの違いを言えば、岡崎の持っている壊れた感じや絶頂感を、ホンマの作品には感じられない、しかし、あくまでも冷静なホンマの客観的な視線には、瞠目させられる。

ホンマは常に、暗室とかにこだわりが無いと言っているし、めんどくさいとも言っている。今では、ホンマは写真界の巨匠に成りつつあるが、今もそのスタンスは変わってない。アサヒカメラで毎号行われている対談の中での発言もその内容に変化は見られないが、ある写真家の広島での仕事についての会話で、歴史的なものや政治的ことに対して「ダサクテモやらなきゃいけないのかな」と発言しているのに僕は興味を覚えた。

ホンマタカシの写真集の頂点は『TOKYO SUBURBIA』でまちがいないが、今後これを超えるような物を見てみたい。ダサクテモいいじゃないですか。

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『TOKYO SUBURBIA』
ホンマタカシ
初版 付録付 光琳社 1998年
¥38,000

林 裕司

2010 年 9 月 28 日 | comment
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ヒルズの蜘蛛は少女のようなおばあちゃん

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Louise Bourgeoisは、1911年パリに生まれ、1938年に渡米、第二次世界大戦後、身体の彫刻とインスタレーションの創作に取り組んできました。
彫刻家として50年以上のキャリアを持ち、その革新的な作風はアメリカのアーティストに影響を与えてきましたが、Louise Bourgeoisのプリントはほとんど出版されておらず、今回紹介します『The Prints of Louise Bourgeois』は、1938年から1993年までの作品を制作過程とともに包括的に見ることができるはじめての作品集です。

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長い間、Louise Bourgeoisの研究を続けてきたWye Smithがキュレーターとなり、Louise Bourgeoisが、今まで制作してきた作品とこれから作るものをすべてMOMAに寄贈したおかげで、1982年にMOMAで回顧展が開かれました。
その後、1993年にヴェネチア・ビエンナーレで大々的に名前が知られるようになり、日本でも、六本木ヒルズで巨大な蜘蛛の彫刻を見ることができます。

この作品集では、Louise Bourgeois自身が作品に対して一つひとつコメントをつけています。あるモチーフが浮かび上がると、そこからLouise Bourgeoisの記憶や感情によって、そのモチーフは変化を遂げていき、そこにはLouise Bourgeoisの個人的な象徴が表れてきます。コメントは決して説明的ではなく、絵を動きの中でとらえようとするときに、より深い洞察を与えてくれます。
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プリントを見ると、彼女が彫刻家であることがよくわかります。一つの形は、時間とともに変化し、記憶や感情を肉付けされていくようです。物体としての彫刻ではなく、自身の内面を掘り下げていく作業が形となり、その段階ごとに紙に定着させているような感じを受けます。
作家個人の日常的な事柄や、子どもの頃の記憶など、とてもパーソナルなことをモチーフに創作しているコンテンポラリーアートを近年よく見かけますが、1930年代から創り続けてきたLouise Bourgeoisは、かなり革新的な作家だったのではないかと思います。

『The Prints of Louise Bourgeois』
Wye Smith 編
初版 The Museum of Modern Art 1994
図版405点(内カラー76点)
¥18,900

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2010 年 8 月 22 日 | comment
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新入荷!東松照明の写真集

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占領下の影響、交通事故、物価高、ベトナム戦争、学生闘争、奈良原一光・森山大道・中平卓馬など同時代の写真家たちとの交流など、フットワーク軽く日々を切り取る。
この時代を生きて目にしたもの、街を見下ろすその眼に映ったもの―
怒り、悲哀、平和への希求……
高度経済成長下の1960年代の日本と日本人のおかれた状況を東松照明はどう見ていたのだろうか。ページをめくるごとに、東松照明の問題意識に引きずり込まれる。

写真は被写体そのものを写し出すが、写されたものが真実かどうかはまた別の問題だ。東松照明に会ったことはないが、写真を見るだけで信頼できる男だと思う。その一方で、彼のデザインセンスあふれる幻影的な写真を見るとき、そこに写っているものが何であるか考えるよりも、ただ美しいと思う。そうして私は、彼の写真を信頼して、それ以上のことを見ようとしていないのではないか、と気付いた途端に、これらはおそろしい写真集に
思えてくる。東松照明の写真は、一見穏やかな雰囲気に包まれているように見えるが、私たちに「見る」ことを怠らないようにと叫んでいるような気がしてならない。

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『I am a king』
初版 函ヤケ 写真評論社 1972
¥48,000

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『東松照明写真集1<11時02分>NAGASAKI』
初版 背少イタミ 函欠 写真同人社 1966 ¥58,000
1945年8月9日11時02分で停止した時と、そこから現在進行形
で動いている時間。
その二つの時を写し出している写真集。

 

 

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『日本』
初版 ビニカバ欠 見返しテープ跡 写研 1967 ¥126,000

1955年〜1967まで12年間にわたって撮影した「日本」の記録。「吹きだまり」、「恐山」、「アスファルト」、「風景」、「せともののまち」、「おりもののまち」、「ghost town」、「チンドン」、「家」、「占領」 からなる構成。

 

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『サラーム・アレイコム』
初版 ビニカバ 写研 1968 ¥38,000

アフガニスタンの大地と人々の暮らしをとらえた写真集

 

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『戦後派 映像の現代5』
初版 帯 ビニカバ欠 中央公論社 1971

1951年〜1960年までの10年間、東京と名古屋を中心に撮影した5冊目の写真集。

Uehara

2010 年 7 月 19 日 | comment
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7・17(土)ロバート・ハリス×HABU トークセッション「旅の仲間」

7月17日土曜日に六本木・ミッドタウンで催されるラジオDJ・作家のロバート・ハリスさんと、親しい友人で旅仲間でもある写真家のHABUさんとのトーク・セッションの司会をFlying Books山路が務めます。

テーマは「旅の仲間」。
HABUさんによるネーミングで「実際の旅の仲間であり、人生の旅の仲間でもある」とのこと。

ロバート・ハリス×HABU トークセッション「旅の仲間」
時間:7月17日(土)17:00〜18:00
場所:東京ミッドタウン 
TSUTAYA Lifestyle CONCIERGE (東京ミッドタウンプラザ1F)
司会:Flying Books店主・山路和広
入場無料
トーク終了後、ロバート・ハリスさんとHABUさんのサイン会もあるとのことです!

詳細・お問い合わせは 
TSUTAYA Lifestyle CONCIERGE 03-5413-3773

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併せてロバート・ハリスさんセレクトによる「ロバート・ハリスの旅の本」フェアも開催されてます。 (6月28日〜7月18日)

2010 年 7 月 12 日 | comment
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事典と遊ぼう

蒸し暑いわ、なんかブファーとした鳴り物の音が巷に響いているわで、本なんぞ読んでられないとなるのも当然な今日この頃、そんなことにくじけることなどなく、薄暗く湿っぽいところでごそごそと埃にまみれることがあっても厭うことなく、書物と日々交流しつづけるみなさんこんにちは。芝生のうえの蝶とはまたべつの輝きを紙魚はもっているのです。
さて、そんな本の虫のかたがたであっても、なにかを調べようというときに事典を使うということは稀になってしまったのではないでしょうか。ボタンいくつか押せば事足りるこのご時世に、なにしろ手間がかかります。
また大抵かさばり凶器になりうるほど重くて、空間と時間を浪費する、効率優先のむきにはもはやなんとも不合理な存在となりはて、ご家庭に十数巻のセットで配置されていたという伝説の百科事典などは、タスマニア・タイガーかドードーかリョコウバトかニホンオオカミかといった絶滅ぶり。
しかし、辞書を引いていた頃、目的ではないことばをつい読んでしまったように、あてもないぶらぶら歩きで面白げなお店を見つけるように、偶然と必然の間で遊んでみるには、事典はなかなか。捨てたものではありません。
ちょっと専門が限られている方がいいかもしれません。あまりに項目が広範囲では目眩がしますよね(「目まいのする散歩」と云う本はありますけど)。自分にはあまり関係がなく、すぐに役立ちそうもない事柄を知って、そのことについてあれこれ思いをめぐらせてみるというのは愉しいものです。
ではここでそんな愉しみの友となれるかもしれない事典をご紹介します。

『カラー版 世界宗教事典』 

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様々な宗教に関する用語がカラーも含む豊富な図版とともに解説されています。本書の素晴しいところは、五十音順であるところです。つまり三大宗教とその各派は勿論、ヒンドゥー、ゾロアスター、神道、ジャイナ教、ラスタファリー、ホアホア教などについてのことばが同じページの上で隣合っているわけです。異なる考えが並列してお互いの理解へ導く。ユートピア(このことばもあります)的な眺めです。
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ハラールを引いたら、パラダイスとばらもんとパールヴァティーとハラハーも目に入って来てしまいます。とくに探してはいなかったけれど、バル・ミツヴァはよくバー・ミツヴァーと云う表記でユダヤ系作家の翻訳小説に出てくるなあ、おぼろげな意味しか知らなかった。と、たまには不本意ながら直接役に立ってしまったり。
復古カトリックの儀式の写真の隣の頁には鎌倉の大仏。ヒンドゥーの聖紐祭の向かいにアボリジニーの人々。

『月面クレーター 宇宙人名事典』
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何の事典かと思いますよね。宇宙人・名事典、とか宇宙人名・事典とつい読んでしまいます。ところがこれ、月のクレーターにその名を付けられた人々の事典なのです。そもそもクレーターに人名が付いてることすら知らず満月を眺めてきたわけですが、まず1651年にリチオリという人が月面地図を作って、古代ギリシャから当時までの天文学者、数学者、哲学者の名を付けた―あ、この人ちゃっかり自分の名前も付けてた!―ことから始まり、20世紀に人工衛星により月の裏側の撮影に成功したことから、1970年「世界の天文学者達は一同に会し」当時故人となっている偉大な科学者たちの名前を月の裏のクレーターに付けた、と。
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月面地図も載っているのでどこに誰の名が付いているかも分かります。
他に月ロケット、有人宇宙ロケット、宇宙飛行士の各一覧、宇宙条約なども付されていて、この事典の出版された1972年当時の宇宙への夢を感じさせます。またこの頃のことです、事典を編むために国会図書館の資料を基におびただしいカードや文献を制作、整理したと監修者が書いています。全部人力ですよ!タイプライターは使ったでしょうけれど。
なんだ今なら簡単なのになあ、とはとても思えません。
人類の営みとは…とそれこそ宇宙的な思いへと連れて行かれそうです。

『カラー版 世界宗教事典』 
リチャード・ケネディ原著 教文館 1991年 ¥5,770

『月面クレーター 宇宙人名事典』 
竹内均監修 林文献社 1972年  ¥6,500

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2010 年 7 月 8 日 | comment
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マーティン・パーさん、ビル・マーレイに変装して下さい

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目黒シネマでジム・ジャームッシュ監督の「リミッツ・オブ・コントロール」を観た。映画はジャームッシュ節とも言うべき内容で、心地よく鳴り響く日本のヘヴィメタルバンドBORISの曲に乗せて淡々と進む映像に体を浸しながら、睡魔との戦いにも完勝した。(二本立てなので眠い)オープニングとエンディング共にイイナと思った。あと音楽も悪く無いという印象だった。最近は映画の始まりと終わり、そして音楽に重点を置いて映画を見ている自分に気づく。(決して内容が悪い訳でもない)出演者は豪華でティルダ・スウィントン、ビル・マーレイ、工藤夕貴、ガエル・ガルシア・ベルナル。特にティルダ・スウィントン演じるブロンドの持っている傘がビニール傘だったのには笑った。前から思っていたのだが、映画に出演しているビル・マーレイはイギリス出身の写真家マーティン・パーに似ている。そんな事でマーティン・パーの事を書く事にした。

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ちまたではライアン・マッギンリーが、アメリカ写真界の最後のプリンスとしてメディアへの露出が激しいが、世界的に見てストレートな写真表現は、減少傾向にある中、マーティン・パーは欧米では珍しく、コミカルなスナップ写真を作品にしている一人である。コンセプチュアルじゃない作品に、あまり食欲を感じなくなってきた僕にも、マーティン・パーの写真には、すごく食欲をそそられるし、写真集も欲しいと思う。なんでなんだろうと自分に問いかけてみても良い回答が得られない。「自分の所属していない欧米の風景だからだろうか?」「アメリカの映画が子供の頃好きだったからか?」「毎日のようにコカ・コーラを飲んでいるからか?」…………いや、彼はイギリス出身だ。

僕の個人的な趣味や嗜好はともかく、マーティン・パーの写真は、欧米の子供が食べている毛虫みたいなグミや、カラフルなキャンディやチョコレート、僕には理解出来ない派手な色の組み合わせのヌイグルミの持っているブキミ・カワイイ感じがタマラナイ。彼の写真の中では、社会的なヒエラルキーは関係なく、老人、ビジネスマン、若者、主婦、赤ちゃん、いや街のゴミまでも、何か愛くるしくポップで、愛情を感じずにはいられない。特に彼の写真の魅力は、カメラが本来持っている偶然と発見の魅力が、最大限に発揮されている点なので、国境なんか軽く超えてしまえる程の強いインパクトを持っている。マーティン・パーが、エグルストンばりの濃厚な色の写真で、スーパーマーケットの主婦達の格闘シーンや、ホームパーティーの微妙な風景や、本当に心地よいのか?と思わせるゴミだらけのビーチで寝そべっている様子を、彼のちょっとイジワルで愛情ある視線で捕らえる日常の断片は、まるでリアルなモンティ・パイソンの世界だ!

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そんな事はさて置き、マーティン・パーが、みんなが大好きな映画「ゴースト・バスターズ」のビル・マーレイ役に扮してハイパーキッチュな作品を作ってくれたら最高じゃないかな?ミシェル・ゴンドリーの映画みたいなユーモアとウィットに飛んだやつをぜひ!彼の映画のファンなら分るよね。

林 裕司

『HOME AND ABROAD』
MARTIN PARR
初版 SC JONATHAN CAPE 1993
¥28,000

2010 年 6 月 25 日 | comment
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6/21(月)傾聴の会〜小川国夫文学朗読の夕べ〜

映画「デルタ 小川国夫原作オムニバス」の公開に先立ち、朗読イベント開催します。

「傾聴の会〜小川国夫文学朗読の夕べ〜」
小川文学、語りの世界をシタール演奏にのせて
原作 小川国夫「ハシッシ・ギャング」「弱い神」より
出演 桑原延享(from DEEPCOUNT)
   わかばやしめぐみ(イエ・ドロ)
シタール演奏 ヨシノトランス

6/21(月)21:00start (開場は開演の15分前)
会場:渋谷 フライング・ブックス http://www.flying-books.com/
入場料:1500円

チケット予約・問合せ delta.movie2010@gmail.com

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映画「デルタ 小川国夫原作オムニバス」についての概要

 先ごろ刊行された、最後の長編小説「弱い神」で再評価の声も高まる、“内向の世代”を代表する作家、小川国夫の小説3作品をオムニバス映像化。行き詰った作家が直面した創作と生への苦悩を描く「マグレブ、誘惑として」。行方不明の老人を探す3人の想いと思惑が交錯してみえてくる土地を描く「他界」。1年前に消息を絶った、りさ子の幻聴を追いかけて町を彷徨う’私’を描く「ハッシッシ・ギャング」。説明を極限まで省き、感動を伴う一瞬を美しく切り取る小川文学を映像という時間の流れの中で丹念に描くオムニバス。企画、プロデュースは多くの小川国夫原作を舞台化してきた演出家の仲田恭子。監督として「USB」、「美代子阿佐ヶ谷気分」のカメラマンである与那覇政之、インディーズ映画で活躍する小沢和史、「国道20号線」など映像制作集団空族の撮影を担う高野貴子。 出演は、常に先鋭的な舞台で注目を集め続ける演出家の飴屋法水、「美代子阿佐ヶ谷気分」の本多章一と「初恋」の松浦裕也、舞台で活躍するベテランの井上弘久、渡辺敬彦、ミュージシャンの土肥ぐにゃりなど注目のアーティストが集結した。撮影はすべて原作者の郷里であり創作の場であった静岡県藤枝市界隈で敢行。

「誘惑として」 監督・与那覇政之 出演・飴屋法水/井上弘久/本多章一/佐久間麻由/鈴木宏侑

「他界」 監督・高野貴子 出演・渡辺敬彦/他

「ハシッシ・ギャング」 監督・小沢和史 出演・松浦裕也/土肥ぐにゃり/金崎敬江/川屋せっちん/MIKIE

プロデュース・仲田恭子 HD/75分

映画公式サイト http://www.delta-movie.com

2010 年 6 月 12 日 | comment
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【ビート・ジェネレーションから見たもう一つのアメリカ史】

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発表されてから半世紀以上経って尚、人々を魅了するジャック・ケルアックの放浪小説『オン・ザ・ロード』。そこからもう一つのアメリカ史がはじまり、ヒッピー・ムーブメント、POPアートなど、裏路地の文化=ストリート・カルチャーが花開きました。
今回、その影響下にある写真集や小説(一部希少な署名本も)、当時の雑誌を集めて。リブロ池袋本店にてFlying Booksのセレクトした本のコーナーを展開していただいています。写真に写っている本で、すでに売れてしまっているものもあるかと思いますが、まだまだ後半に向けて追加納品します!

期間は6月30日(水)まで。西武池袋本店書籍館2階リブロ芸術書売場へ、ぜひお立ち寄りください!

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また、以前ロードマップの作成をお手伝いしたジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』の文庫版、登場人物が二ール・キャサディやウィリアム・バロウズといった実名のままの『スクロール版オン・ザ・ロード』が河出書房新社から刊行されました。
特設サイトのコンテンツ協力をしているので、そちらもあわせてご覧ください。
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2010 年 6 月 11 日 | comment
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こっそり先行【小林大吾】

avsetこのゴールデン・ウィークより5/12発売予定の小林大吾「オーディオビジュアル」(通常版1995円、28Pブックレット+初回限定スリーブケース入)をFlying Books店頭にて先行で買うことができます。(4/29〜)

上記の写真は500部限定生産の豪華限定盤(3000円)で通常版+ミニポスター3枚(うち1枚はシリアルNo&直筆サイン入)、MIX CD(「テアトルパピヨンのBGM」、オーディオビジュアル取扱説明書がシリアルNo入特製保存袋に入ってます。こちらは残りあとわずかになってきましたが、手作りのため生産が間に合わず、予約のみの受付となってます。(GW中には店頭に並ぶ予定です。)

全曲の試聴ができる特設サイトはこちら

小林大吾 3rd Album 「オーディオビジュアル」FNSR-010 定価1,995円(本体1,900)
1 アビリーンまで何マイル?/how many miles to Abilene?  feat. サッチモズ
2 処方箋/sounds like a lovesong   feat. タケウチカズタケ
3 ファンシーデラックス/L’Oiseau bleu
4 椅子の下の召使い/four chairs
5 青ナイルのほとりで/the hunting of the S
6 象を一撃でたおす文章の書き方/giant leap method
7 鍛冶屋の演説/mr. blacksmith advocates
8 火焔鳥451/by the time i get to (see the) phoenix
9 真珠貝亭の潜水夫たち/pearl divers
10 ジャグリング/jugglin’
11 いまはまだねむるこどもに/the lighthouse
12 線を引く音/afterhours
13 テアトルパピヨンと遅れてきた客/theatre papillon

2010 年 4 月 30 日 | comment
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